2014/02/22

エネルギーの生産と消費

「消費者ではなく生活者」と言えば耳障りは良いのですが、私たち「生活者」は「消費者」であることを自覚する必要もあります。

電力会社は発電所で電気を生産して送電しています。一方で、電機メーカーは電気を消費する機器を生産して量販店に列べます。そして、生活者は機器を購入し便利を享受するために電気を消費しています。

石油会社は製油所でガソリンを生産してスタンドに運びます。一方で、自動車メーカーは自動車を生産して販売店に並べます。そして、生活者は自動車を購入し運転してガソリンを消費しています。

電気会社は電気を売っているのですから、節電やECOなんて本気で考えないのは当たり前です。街灯がガスから電気になり、アイロンが炭から電気になり、人の手で行ってきた洗濯や炊飯も電気が労働するようになりました。

結果として、人は労働から解放させたかと言えば決してそうではなく、新たな労働に着くことになります。それが、情報を生産するための労働です。

情報化社会が進展する中で、情報に関わる企業は、魅力的な神話を創造します。プログラムやソフト、コンテンツやアプリケーションと言われたりします。これらは人にとってのエネルギーとして社会に散布されます。そして、生活者は社会に溢れた情報を消費します。

2014/02/16

デザイン工学卒業研究

2月5日、2013年度デザイン工学科の卒業研究発表会が開催されました。プロダクトデザイン領域では二期生45名の発表が行われました。

デザイン工学を学ぶプロダクトデザイン領域では、制作をする学生に対しても論文を課しています。大学4年間の集大成として、自身の定めた研究テーマに対して行った調査、分析、考察を論述することを重要視しています。

芝浦工業大学は創設者有元史郎の理念にあるように、実学を重んじています。デザイン工学においても実学を重視しています。論述は実学のために必要な行為です。




2014/02/11

同窓サービスデザイン

小学校、中学校、高校、大学の同窓とは、長年会っていなくても直ぐに打ち解けることができます。社会的な地位や年収とは関係ない友であることも可能です。友だちの中でも同窓は特別の関係です。(もちろん、不幸にも虐めや冷やかしで辛い思い出ばかりの方もいるかもしれません)

そこに目を付けたのが同窓会会員名簿ビジネスです。私の場合、高校も大学も同じ会社が名簿管理を請け負っています。定期的に名簿の確認、販売の案内が来ます。

背景には、個人情報の扱いが厳しくなったことがあります。そもそもOB会、同窓会は、有志によって運営されている場合が多いと思います。毎年卒業生を出す学校の同窓会は、会員数も増えて幹事の仕事は大変です。そこに、個人情報の扱いが厳格になり有志ではどうしようもなくなったのでしょう。

今もあるのかどうか??知りませんが、昔、「ゆびとも」というネット上の学校同窓会サイトがありました。私も利用しましたが、最近、あまり話を聞きません。どんなにネットが普及しても、郵便の方が確実なのでしょう。先に紹介した業者は、着々とびビジネスを広げているように感じます。

同窓ビジネスの基本サービスは、まず、名簿の管理です。これで、同窓会幹事は個人情報管理から解放されます。次に名簿の作成販売、そして、新たな同窓会員を見つけることです。同窓会は、新たな卒業生が生まれたらその名簿を管理会社に渡し、同窓会を開催するなど必要に応じて案内を発送してもらいます。

今は、同窓会に関わる案内だけに限定されていますが、様々なビジネスチャンスを生む可能性を感じます。その基幹は個人情報セキュリティだとは思いますが。


2014/02/02

再考「軽薄短小」

いつも間にか、あまり使われなくなったように思われる「軽薄短小」。「重厚長大」の産業、製品から軽く、薄く、短く、小さくすることで、付加価値が生まれるとして、競われて時代がありました。私が携帯電話のデザインを担当していた頃は、厚さ0.1mm、重さ1gのせめぎあいを技術としていたものです。「軽薄短小」は、近年の製品だけでなく、昔からの日本的ものづくりの特質でもあります。

最近購入した財布、ネットで調べに調べて可能な限り薄いものを選びました。薄さに拘る理由は、男性の皆さんは経験があるでしょうが、スーツの胸ポケットに財布を入れると膨れ上がり、折角の上着のシルエットが台無しになります。かといって、いつも鞄やポーチを持ち歩くこともできません。

薄さを実現しているのは、皮の薄さと縫製ですが、金具も薄さに拘ったデザインです。細かな積み重ねで薄さが実現されています。改善の積み重ねによる実現、これも日本人の得意とするところです。「軽薄短小」のような物理的に分かりやすい目標だけでは勝てない時代だ、とも言われますが、分かりやすい目標をクリアすることも大切ですし、ユーザーの心を掴むのではないでしょうか。

財布の話に戻します。単に薄いだけでは使い物になりません。必要なものが収まってこそ、優れた製品デザインです。今日の中身は、お札が数枚、PASMO定期券、免許証、銀行カードとクレジットカード、小銭入れには、家の鍵、薄型のUSB、小銭は硬貨が一枚です。これで最厚の部分でも10mm以下です。

ここで、薄さを実現しているもう一つは、入れるものを割り切ったことです。今まで不要に入れていたカードは持ち歩くのを止めました。小銭も極力使わないようにPASMOには、常に一万円以上入れるようにしています。しかし、何かと必要なことのあるUSBは、薄型を選んで小銭入れに入れています。・・・・・・使い方を変えること、生活の仕方を変えることも大切です。