2015/02/13

私的神話その6・アルファチューブの造形

1980年代にテレビのデザイン開発に関わっていた人は、「テレビは近いうちに一枚の板になり、壁掛けになる」と感じ、考えていたと思います。

技術的には、やっと3インチのカラー液晶パネルが開発され、工場では歩留まりとの戦いをしていました。開発者たちは「液晶パネルで14インチ以上は不可能」と断言していましたが、30年経って現在の状況です。何れは紙のようになり、空間に映像を結ぶでしょう。

1980年代に戻ると、テレビの造形はブラウン管に依存していました。あのガラスの塊を包むことでテレビは製品として存在していました。

テレビの主役は画面です。ですからテレビが生まれて以来、デザイナーは前面からのデザインに注力していました。背面、バックカバーをデザインすることはほとんどなく、コストも掛けられない状況でした。

アルファチューブは、「床置き」をコンセプトにしました。壁を背にして置かないため、背面も含めて全体の造形がデザイン対象になります。

と言うか、前面は画面だけで良いから造形する必要はないと考えました(実際には必要でしたが)。

そこで、普段であれば前面からのスケッチを何十枚と描くところを、アルファチューブでは、メンバーの合意で背面から見たスケッチのみで造形検討を進めたのです。