PDのためのスケッチ初級

その1:マーカーを使う





これまでは、画材はボールペンだけでした。でも、少し描くのに時間は掛かりますが、マーカーや色鉛筆を使用するとデザインを伝える力が強くなります。今回は、青のボールペン(実は、私は4色ボールペン+シャープペンシルを使用しています。今回はその中の青を使用します)に加えて、マーカー一色、色鉛筆一色を使用します。それも青系のものです。青である必要はありません。他の色でもOKですが、同系色にすることでカラー配色に悩まず、あくまで造形中心でスケッチを進めます。
それと、もうひとつ円定規(私は肋骨定規と呼びます)を使用します。

スケッチ対象は、PC用のマウスです。ここでも基本はフリーハンドです。これまでと違うのは、ラフなラインが決まったらマーカーで陰影を付けます。その後、定規でアウトラインを決めていきます。最後に色鉛筆で調子を整えます。黒の中太のサインペンを底面部の境目に使用するとものとして、よりくっきりを見せることができます。

今回は、グリップ感を良いデザインを考えてみました。考えていた時間も含めると40分強かかっています。やはり、画材を増やした分だけ時間がかかっています。


注)マウスのように、手で持つものはスケッチだけでデザイン作業を進めてはいけません。スケッチよりも簡易モデルを削って、グリップ感を確認し、造形を詰めるべきですが、今回のスケッチはその前段階、または簡易モデル作業の間のプロセスだと考えてください。



その2:パステルを使う




画材を増やしていきたいと思います。ひとつは黒のサインペンと黒と白のポスカです(今回、黒は殆ど使用せず)。簡単にハイライトを入れるだけで引き締まったスケッチになります。
もうひとつは、マーカーの代わりにパステルです。パステルはカッターで粉末状にし、コンパウンド(ベビーパウダー)と混ぜてコットンにつけて使用します。パステルの色は混色して自由につくることもできますが、この段階のスケッチではスピーディーさを求めて既存の単色を使用しましょう。
今回は、小型のプロジェクターです。文庫サイズで本と並べて書棚に収納できるコンセプトです。黒のサインペンで輪郭や影を強調することで、ボールペンだけでは単調となる表現がメリハリの利いた分かり易いものになります。
スケッチレベルではパステルを使用する場合でもスピードが要求されるので、サッとひとこすりと言った感じです。マーカーでは難しいグラデーション表現が簡単にできます。
最後に、ポスカの白でハイライトを入れると完成です。

 
 
その3:色鉛筆で描く





私は、普通の鉛筆で描くことはほとんどしませんが、色鉛筆は使用します。色鉛筆はボールペン程ではありませんが、消しゴムで消すことが難しい画材です。基本の考え方は、デザインにとってのスケッチは上手く描くことではなく、アイデアを記録するということです。ですから、一旦描いたものを消すことは、折角のアイデアを消すことになると考えます。
色鉛筆の色は、濃い目のものを選びます。私は、Ulutramarineを良く使います。その他には、Purple,Violetが好きです。鉛筆はカッターで自分で削りましょう。手先の訓練になりますし、気持ちを落ちつけるためにも大切なことです。(プロとしてよりスピーディに描く場合は電動鉛筆削りもOK)

今回は、Ulutramarineの色鉛筆を使用して、iPadのACアダプターを描いてみました。ボールペンのように滑りはよくありませんが、柔らかな感じは、それに合ったイメージを表現することができます。
iPadのACアダプターの基本形は直方体ですが、稜線のRが大きいので柔らかな造形です。このような形を表現するには色鉛筆は有効です。また、ラバーや柔らかな質感を表現するときには最適です。



その4:ボールペンと色鉛筆



このスケッチは、ボールペンとサインペン、色鉛筆を使用しています。
私が毎日使用しているBRAUNのシェーバーが左上のものです。見ながら描いてみました。ほんの少しだけリデザインしたのですが、今回は自由曲面をスケッチ上で伝えるために、断面稜線を何本か描いてみました。こうすることで、説明的ですが曲面の構成を伝えることができます。色鉛筆を使用したのは、この断面稜線が見えるようにするためです。
また、左右対称のものを描くときには、半分をしっかり描けば、円形側は史家kり描く必要はありません。その方がかたちもはっきりとします。どこを見せるスケッチであるかを考えて描くことが大切です。
このようなスケッチは、モデルメーカーに説明する時に有効です。いくら図面(今は3次元データ)で表現できていてもモデル職人さんに「こんな完成イメージです」と伝えることはモデルの完成を上げるためと作業をスムーズにするうえでも有効です。