PDのためのスケッチ基礎

その1:身近なものを描く



立方体や球ばかり描いていたのでは楽しくありません。
この辺で、身近なものを描いてみましょう。難しいとは思いますが、どの程度描けるかトライです。今回、私は海外サイトで入手した携帯電話(Sony Ericssn XPERIA mini pro)をボールペンだけで描いてみました。定規も使用していません。消しゴムも使用しません。
レンダリングを描く場合は定規を使用しますが、スケッチの段階では定規は造形の自由度を妨げるように思います。しっかり見て描くことが大切です。

細かなテクニックについては、次回説明します。




その2:リデザインのスケッチ

その1で描いた携帯電話を再度順を追ってみたいと思います。途中でスキャニングして記録を取った時間も入れて30分。スケッチ自体は10分程度です。その1は背面も描いたので20分程度かかっています。デザインにとってスケッチが作品ではなくそのデザインが作品ですからスピーディーに描くこと、それで生まれた時間はアイデア考えることに使った方が良いと思います。アイデアさえあれば、すぐに描くます。というか、すぐに描けるようにスケッチ力を身につけましょう。


薄いボールペンの線が見えるでしょうか。プロポーションと視点を決めるためですが、これは大変重要です。何を見せるか?もちろんデザインとしてもっとも言いたいところを見せるスケッチにするためです。

その1と全く同じでは芸がないので、操作インターフェースのボタンをリデザインしてみました。この段階でもボールペンの線は薄く、描きながらかたちを探っていく段階です。


少しずつ、輪郭をはっきりさせていきます。頭の中のイメージとスケッチとのやり取りを繰り返しつつ、空間の中に立体物を存在させていきます。


かたちを明確にするために輪郭をはっきりさせる段階で、何度も描きつつ線を濃く、太くします。この段階で本来ならサインペンや定規を使うのもよいのですが、スケッチをスピーディーに描くためには画材は極力少ない方が得策です。最後の斜め左上に光源があると想定して影をつけます。

さー、自分の携帯電話を描いてみましょう。




その3:ライターのシンキングスケッチ

スケッチのトレーニングとしてライターのアイデア展開をスケッチで行ってみました。今回の震災で計画停電になると言われて、我が家には火をつけるものがないことに気づきました。そう言えば、禁煙者が増えてライターを持っていない方が多いのではないでしょうか。長持ちするビックガスタンクと安全ロックと押しやすさを考えてみました。(所要時間30分)



目の前にあるものを描くことがスケッチの基礎であると思いますが、デザインのアイデアは現在しないものです。そのアイデアをイメージとして表現する手段がスケッチです。
スケッチの基礎では、アイデア発想法に主眼を置いていません。しかし、スケッチ行為そのものがアイデアを生む手法であることを理解してほしいと思います。描きながら考える。考えたものを描く。描いたものを見て考える。自分の中でグルグルと回しながらスケッチを描いてみましょう。



その4:テレビのシンキングスケッチ


この回で、ボールペンだけのスケッチを終えようと思います。先にも書きましたが、画材を制限するのはスピーディーに描き、アイデアを展開するためです。画材を持ち替えるとアイデアが止まってしま様に思います。

少し大きなサイズのプロダクトとして、テレビ受像機をスケッチしてみました。考えた視点は、テレビの置き方、スピーカーのレイアウト、DVD内蔵の場合の位置、ディテールのデザインではなく構成を考えて記録するためのスケッチです。前面と後面の両方から考えてみました。(所要時間20分)