PDのためのスケッチ心得

その1:まねることの勧め

「学ぶ」ことは「真似る」ことからはじまります。日本では昔から「写し」と言っていました。海外でも多くの画家は師と仰ぐ画家の絵を複製する行為の中で学んで来たそうです。
プロになってデザイン自体を真似ることは、意匠法に触れることですし、何よりもオリジナリティをデザイナーは大切にすべきであり、あってはならないことです。しかし、ここではスケッチのテクニックを学ぶ上で先人の描いたスケッチを写してみることをお勧めします。

下の二枚のスケッチは、私が大学2年の春に描いたものです。



お手本としたのは、「カースタイリング8号」の「IIDのスケッチ」です。コピーすると言っても、本当にコピーマシンでコピーしたり、トレペでコピーして写してはいけません。あくまで見て写す行為が大切です。

注)IIDとは、International Industrial Design Inc.インターナショナル工業デザイン㈱で、1962年に松下電器㈱の子会社として設立された。社長はナショ研社長の竹岡リョウ一、副社長は米国で活躍していた日系デザイナーアラン・島崎が招聘された。

下が、「カースタイリング8号」に掲載されていたお手本です。後に、インターンシップを受けたのがきっかけで松下電器㈱に入社し、デザイン制作に30年携わりましたがその間の私のスケッチテクニックの基礎は、この時のテクニック習得にあります。後に、IIDのデザイナーの方でこれらのスケッチの本物を描いた方にこのことを話して、「いつかお見せしたい」と言ったまま現在に至っています。



今、真似るためのお手本となる本は、下の「sketching」という本がお勧めです。アマゾンの洋書で購入すると日本の書店より少し安く購入できます。






その2:写真を写す

デッサンは立体物を見る力を養い、平面上の紙面に表現する力となります。デザイナーにとってスケッチは自身の頭にある立体イメージを平面上の紙面に表現する行為です。と言うことは、スケッチ力とは平面上にある写真から立体をイメージできる力でもあるのです。
学生時代に、スケッチを「写す」行為とともに行ったのが、写真を見てスケッチを描くことです。下のスケッチは3年生の春ごろに描いたものです。マーカーとパステルを使用しています。写真は自分が「これは良いデザインだ」と思えるものを選びましょう。